R18 年齢操作(茨が20歳)
酔っ払ってます
らめ語
「おれー、ちょこれーとになったのぉ!」
ケラケラ笑いながらそう言ってソファに転がるのは、今日の誕生日パーティーの主役。20歳になって、お酒が解禁されて、メンバーの4人だけで開いた誕生日パーティー。本当の誕生日は昨日だけど、その日はアイドルの七種茨として沢山のファンに祝われた。そしてその余韻そのままに開いた小さな祝いの場で、10分と経たずに茨は林檎酒で酔っ払った。他の3人は比較的強いほう。だから林檎酒をグビグビ呑んだ茨が、突然ケラケラ笑い出し始めは揃って驚いた。
「ねぇねぇかっか?おれおいしい?」
だからこうやって膝に跨って、凪砂の透き通るような唇に己の指先を押し付ける茨の事も、誰にも予想出来なかったわけで。
「とけちゃった〜!」
ケラケラ、ケラケラ。笑いが響く。
ジュンの顔は引き攣り、日和は「面白いね!」とスマホで動画を撮っていて、当の本人は溶けちゃったようで、凪砂の肩にぺたりと頬を乗せ、すりすりしている。
「茨、そうゆうのはよくないよ」
だから凪砂がついつい頭を撫でたって仕方ないのだ。自然の摂理なのだ。きっとどんな聖人だって抗えない。そうやって、指でサラサラ髪を撫でていると、
「……あつい」
声と表情からケラケラが何処かへ消えたと思えば、立ち上がってプチプチとワイシャツのボタンを開けていく。もたもたズボンを脱ぐ。あっという間にパンツひとつになった。唖然とする3人を他所に、定位置だと言わんばかりに凪砂の膝へ逆戻り。
「へへ〜たべてぇ〜」
「……」
満面の笑みで言われたその言葉に、一瞬、何を?と思わなくもなかったが、茨は今、自分をチョコレートだと思っているのだ。うん、そうだ。危なかった。ジュンもブンブンと必死に首を横に振っている。たとえ素肌をワイシャツ越しに擦り寄せられたって、たとえパンツが半分脱げかけていたって、食べてはいけないチョコレート。だって相手は酔っ払い。
「……おれぇ、おいしくなぁい?」
……酔っ払いで……。
「ろーしたらたべてくれう?」
……酔って、いて、……
「あ、ジュンくん。メアリにご飯をあげる時間だから帰るんだね!」
「え、あ、は?」
「んもう!お腹が空いたら可哀想なんだね?」
「いや、茨が」
「茨はお腹が減っても自分でどうにかするから大丈夫だね!」
「そうゆう事じゃねぇって…ちょっ!わっ、ぶね!」
「二人ともじゃーね♪今度酔ってない時にプレゼント渡すからね!おやすみ!」
そうやって、日和はジュンを引っ掴んでご機嫌に部屋を出て行った。
シンと静まり返る部屋。凪砂と自称チョコレートの二人きり。今のうちに茨を膝から降ろしてベットに寝かさねばと声を掛ける。
「茨、そろそろ風邪ひいちゃうから」
「……」
「茨?」
「やーだ」
「茨…」
「……かっか、すきぃ」
そんな声が聞こえたかと思えば、凪砂の唇にやわこいものが押しつけられる。
「おれー、おいひっ、いからー、あげうー」
そして唇を離した茨は何を思ったか、おもむろに凪砂のズボンのチャックを下げる。
「あ! たってう!」
「私だってね、男だよ」
男はね、好きな子に裸で触られてキスされたらそうなるんだよ。という言葉は吞み込んだ。
「かっかぁ、これちょーらい?」
そう云って、とろけた顔で指をさすのはズボンの中身。
「えっと……だめ」
「……らめ?」
「……だめ」
「おれ、たんよーびなのに?ぷれえんとないの?」
「プレゼントは用意してるけど明日ね」
「や! かっかがいい!かっかがほひい!いまほひーの!」
「わかった、わかったから。……いいよ」
「やたあ!」
早速と言わんばかりに凪砂のパンツとズボンは茨の手によって脱がされる。ポロンと上を向いたそれに茨は跨って、凪砂の肩に手をかけつつ腰を降ろそうとする。しかし、脱げかけたままの茨のパンツが侵入を拒んだ。
「はいんにゃー…かっかぁ~」
酔った茨は何で入らないのかわからないまま、凪砂の先端にパンツを擦り付ける。気持ちがいいからやめて欲しい。
そうこうしているうちに、元々脱げかけていたパンツが何かの拍子で完全に脱げた。茨も興奮していたのか、カウパーが糸を引き凪砂のものと混じりあう。
茨は今度こそはと、もうすっかりと立ち上がった凪砂のそれに、迷いなく腰を降ろそうとする。……あ、ちょっと待って。
「待って。ストップ」
がしりと、茨の腰を押さえる。
「やぁ~!」
「解かしてない」
「らいじょぶらもん!」
「だめ。解かさないならあげられない」
「…………わあった」
「いい子」
危なかった。痛い思いはさせたくない。というか、この部屋でこんな展開になるなんて思ってなかったからなんにも用意していない……。
凪砂は、茨が凪砂用にと常備しているハンドクリームを茨のポケットから取り出し、人肌に温め茨のお尻に手を這わす。
「ぬうぬうすうー!」
茨は、くすぐったいのか初めのうちはケラケラ笑ってそんなことを云っていたが、だんだんと息が荒くなり、真っ赤な顔がさらに赤くなった頃には、黙りこくって快楽に体を捩って耐えていた。
「気持ちいい?」
「あうぅ…きもひぃ」
「よかった」
そろそろかなと指を抜いた穴はヒクヒクしていて、とろんと赤く染まる淵はまるで熟れた果実。
「かっかぁ…、ぷれえんと、ちょーらい?」
「うん。入れるね」
とろとろにトロけた穴に、差し込んでいく。茨の中に温かく包み込まれる。気持ちがいいのか茨はのけ反り、ギュッと中を狭くする。そしてふにゃりとした表情で、こう云った。
「かっかのはいったあ」
幸せそうな、甘い甘いチョコレートのような顔だった。
「かっか、ありあと……」
茨は凪砂の背に腕を回す。指先が、存在を確かめるように背に縋る。深く呼吸するたびに、密着した素肌から生命を感じる。茨は、とろけきった青い水晶を凪砂の瞳と合わせ、内緒話みたいに囁く。
「おれね、かっかとね、ずっとね……」
その言葉に続く言葉は声にはならず、形だけが作られる。
「茨……」
凪砂は、その形を受け取る代わりに口づけをする。その言葉は今日のパーティーの終わった後に、二人きりになって凪砂が言いたかった言葉。そのために用意したプレゼント。今は茨からの贈り物を受け取れない。酔っていない茨とキスをして、捧げたいプレゼント。これだけ酔っているのだ。きっと、明日には記憶もなくなる。だから凪砂は抱きしめて、キスをして、快楽で上書きをするため、腰を動かす。
「あっ、んん、あ…ああッ…」
だから果てた茨が眠りに落ちる直前、淋し気な顔をしていたのを見ないふりをした。
*
「ん…あ、閣下…おはようございます……」
「おはよう。茨……ううん、チョコレートだっけ?」
そう云った瞬間、茨はボンッと音がしそうな具合に、真っ赤になって目と頬と口を引きつらせた。
「あ、覚えてたんだ。可愛かったよ」
「……忘れてください」
「ふふ。努力する。あ、そうだ」
――昨日の答えなんだけどね。
凪砂はベットに座る茨の前に跪き、用意していたプレゼントの蓋を開ける。小さな箱の中で光るそれに、茨の大きな瞳が開かれる。
「改めてお誕生日おめでとう、茨。受け取ってくれる?」
茨はその言葉に言葉で返事はしなかった。代わりに凪砂の背をきつく抱きしめた腕だけが、答えとなった。