【R18_3】翻弄lover

R18


「ねぇ、茨。誕生日はなにが欲しい?」

凪砂の誕生日だった十月二十七日から一週間後のこと。副所長室で茨がパソコンに向かって仕事をしている中、ソファーに座りながら本を読んでいた凪砂がそう問いかけた。

「なにが、と言われましても。自分は閣下が変わらず、更にその輝きを増してEdenこそ最強にして頂点!となれば一向に構わないのですが」
「うん。AdamとしてもEdenとしても、もっと成長したいのは私も同じ。……そうじゃなくて。私は茨に恋人として聞いているんだけど」

読んでいた本に栞を挟んでテーブルに置いた凪砂は立ち上がり茨が仕事をしている机まで歩み寄る。
そして手をついて顔を茨に近付ければじっと、茨の蒼い瞳を見つめてそう言った。茨は『恋人』という言葉に未だ慣れていないせいか、むず痒そうにしながらも視線を逸らさずに凪砂を見ている。

「そう、言われましても……」
「私に出来ることならするから、ね?」

微笑みながら小首を傾げて言う凪砂に茨はタイピングをしていた手を止めてうっ、と詰まる。こういう凪砂の”お願い”したい時の顔に茨は弱くなっていた。観念したように息をつけば茨は肘を着いて手を組み、その手の甲の上に顎を乗せて凪砂を見上げた。

「でしたら閣下。自分、前から試してみたいものがあったんです」
「ん?」
「閣下に用意して頂くのは些か引けますが、そこまで仰るのであれば……」

そう言って茨は凪砂に『欲しいもの』を要求してみた。それが自分の誕生日の十日前、凪砂は最初に聞いた時は目を点にしていたがすぐに「わかった」と言って笑った。

そして今現在。

(本当に『大人の玩具』を用意されるとは思ってなかった……!!)

茨は要求した『大人の玩具』で翻弄されていた。凪砂から渡されたプレゼント。初めはまさかそんなはず、と思いながら二人きりの部屋で開けてみた。が、そこにはしっかりと求めたものが入っていたのだ。

「……閣下、これはどのように?」
「聞ける相手が決まっていたから年上の人達に…、あとは斑くんとか」
「燐音氏に朔間氏に三毛縞氏ですか…、解りました後でよく言っておきます」

なにを、とは茨は言わず手元を見ながらほぼ燐音の悪巫山戯わるふざけだと感じ取った。すると凪砂の指が玩具の一つであるバイブローターを掴みあげてしげしげと見つめている。

「これ、どう使うの?所謂アダルトグッズ、てやつでしょう?」
「……これは乳首や穴に使いますね。こっちのローターは亀頭に着けるタイプ…、うわ、アナルビーズもある……」

茨は入ってる玩具を見ながら良くもまあ用意したもんだと思った。親切心かは知らないがローションもある。中身を確認していれば隣の凪砂が持っていたローターから視線を動かして茨を見た。

「ねぇ、茨」
「はい?」
「使って見せて」

その言葉に茨は思考停止した。そんな茨に凪砂はずいずいと寄ってきてはそのままぽすん、と茨をベッドに押し倒す。

「閣下…?」
「だってその為に欲しいって言ったんでしょう?」

凪砂の目は好奇心に満ちていた。茨はこれはまずいなと思うも時は既に遅し、というやつで。

「私のプレゼント、使ってくれるよね…?」

そう言った凪砂の瞳が細められたことで茨は完全に逃げ場を失ったのだった。

***

「ン、んぁっ、ぁ…っ」

茨は中にローターを咥えこんで自分の亀頭にローターを着けた状態だった。同時に振動しているローターに声を上げている。それを見ながら凪砂は手元にあるリモコンをいじっていた。

「ふぅん、これで振動の大きさを変えられるんだ」
「ぁ、閣下、も…ぅ…っ」
「もうちょっと、まだ一番強いの試してないよね」
「ま、それ、ダメ…!」

カチッと音がすれば中と外と同時に強くローターが震え出す。茨は体を跳ねさせて嬌声を上げた。

「ひっ、あん!」
「どう?」
「ど、と、聞かれ、ても…っ」
「じゃあこうしてみようか」

今度は中を弱めにして外を強くしたままにしてみる。中と外の振動の違いに茨は首を振った。

「ゃ、閣下、だめ、外だけ強い…っ」
「どっちも強いのがいい?」
「…っ、は、ぃ」

頷く茨を見て凪砂は茨に覆いかぶさって耳許に唇を寄せる。

「玩具で気持ちよくなるなんて、茨の身体は随分とえっちになったね」
「んんっ、誰のせいだと…っ」
「うん、私」

そう言って凪砂は弱めていた中のローターを一番強くさせた。そうしたことで茨はビクッと震えて視界がチカチカとし出す。

「あ”っ、あぁ…っ、っよ、い!」
「これが良いんでしょう?」
「ぅ、あ、イぃ…っ、も、イくっ、イっちゃ…っ」

茨は全身を震わせて絶頂した。凪砂は茨の中からローターを抜いて亀頭に着けていたローターを外す。そのまま今度は自分の人差し指と中指を茨の中へと侵入させた。ローターで弄もてあそばれた中は既にローションで滑りが良く程よい感じに解れている。凪砂は中で指を折り曲げて指の腹で擦りながら問い掛ける。

「茨、気持ちよかった?」
「んぁ、閣下、指…っ 」
「玩具でイくなんて、妬けちゃうね」
「は、ァ、かっ、か、ンン、やだ、閣下…くださ…ぃ」

茨は凪砂の方へ腕を伸ばす。茨が凪砂を求める合図だった。それを見るや否や凪砂は指を中から抜いて猛りきった自分の性器を晒し出せばゴムを着けてピタリと茨の穴に擦り付ける。

(閣下の、が、当たってる…っ)
「挿入いれるよ、茨」

ゴリュ、と音がしそうな程の質量が茨の中へと挿入される。それだけでも茨は身を震わせて短く息を吐いた。ゆるゆると動くそれに茨はもっと、と求める。

「かっか、奥に、奥にください…っ」
「奥?…ここかな」
「あっ、ちが、その先…が、ぃ、ンぁ!」
「意地悪しちゃった。ここ、茨の好きなところだもんね」

茨の腰を掴んでゆさゆさと揺さぶる。的確に茨の良いところを突いてくるお陰で茨の口からは快楽で喘ぎ声が絶えず漏れ出ていた。

「あっあっ♡おく、おくに、キてる…♡」
「私と玩具、どっちが気持ちいい?」
「んぁ、あぁっ♡ 閣下、のが、気持ちい、れす…♡」

すっかり蕩けた顔で凪砂が良いと喘ぐ茨に凪砂は腰を動かしながら開いている茨の口に舌を伸ばし入れる。茨の舌と絡ませながら口付けをしてどちらのものかわからない唾液が茨の口端から落ちる。腕を伸ばし凪砂の首に抱き着いて揺さぶられながら、自分でも腰を動かして茨は悦を含んだ声で喘ぎ散らす。

「はっ、ぁ!ン、かっかぁ♡あっ、きもち、きもちぃ♡そこ、すごい、クる…ぅ♡」
「ん、ふふ、凄い締め付け。茨、もうイきそう?」
「あっ♡ はぃ、イ、きそ、れす…♡閣下の、おっきくて、硬い、のでぇ、イか、せて、くらさ…♡」
「じゃあ、一緒にイこう、ねっ」

茨が凪砂の腰に脚を絡ませたところで凪砂はギリギリのところで引き抜きゴツン、と中を強く貫くように穿つ。茨はその強い衝撃とそこからやって来る快楽に背中を弓形にして一層高い声を口から漏らした。

「んあっ♡あ”っ♡あっあぁぁ…ッッ♡♡」
「ン、ふ、ぁ…っ」

絶頂した茨の中は強く凪砂のものを締め付ける。凪砂もその締め付けの強さから追うように達してゴム越しに射精した。
肩で息をしながら髪を掻き上げて凪砂は茨の頬を撫でる。

「大丈夫?」
「はぁ…っ、ん、はい、大丈夫です…」
「そう。じゃあ一旦抜いて…、…ッ!?」

凪砂が茨の中から抜こうとしたが茨の絡みついた脚がそれを許さなかった。それどころか締め付けて抜くことを拒絶している。

「ッ、茨…?」
「閣下、もう少し、ヤりません?」

何処から出してきたのかわからないがいつの間にか茨は替えのゴムの袋を咥えていた。瞳を細めて茨は艶っぽく凪砂を誘う。

「…今日は元気だね」
「たまには良いでしょう?それにいつもは閣下の絶倫に付き合っているんですから、今日は俺の気まぐれに付き合ってください」
「……いいよ、たくさん甘やかしてあげる」

そう言って凪砂は茨の咥えているゴムの袋の反対側に歯を立てて封を切る。
今宵は絡みつく蛇の甘い毒牙に掛かって、一緒に快楽に身を沈めていこうか──。


ヒント
タイトルや本文作風は普段と近いですか?
→普段と近い
地の文と会話文どちらに力を入れていますか?
→地の文6割会話4割くらい…?
あなたにとっての凪茨は?
→落ちるべくして落ちた沼
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